全国のマイネリーバーに笑いと涙を届けた最終回

だったので、本日の感想はマイネリーベ・オンリーで。



2月3日分。


マイネリーベ「理念」【最終回】
さて。いつの間にかTVと会話している自分に気づく、インタラクティブ体験満載(あなたはもうひとりではない)な奇跡のドラマとも、いよいよお別れ。最終回だけあって、作画が美しすぎて眩暈がします。芝美奈子作監でスーツ姿のルーイ様にはもうクラクラ。


エド、ナオジ、カミユを前に敵が学園内にいることを告げるルーイ様。でもそれが誰なのか、まだ気づいてない。あんなに一生懸命怪しい行動を取ってたのに、眼鏡教師、ルーイ様の眼中に入ってなかったようです。ある意味、不憫。
一方、逃走中のオルフェとアイザックアルバートを助けることもできず、自分は何をしているのだろう?と胸の傷に手を当て呻くオルフェ。そりゃ傷に触ったら痛いに決まってるわさ。ホント、何やってんだろうこの男は?わけの分からん行動に走ってるオルフェにアイザックは言う。理想は誰だって持っているが、それを貫くか途中で諦めるかを決めるのは自分自身だと。ふと、アルバートから託されたペンダント(時計じゃなかったのね)を見たオルフェは、その中に紙切れが忍ばせてあったことに気づく。
その頃国王は、密かに動向を探らせていた弟が、ついに自分の誠意が通じないところまで暴走してしまったことを知る。そして、ローゼンシュトルツ学園を訪れた国王は、旧知の仲(同窓らしい)の校長と、昔を振り返る。あの頃は、自分にも希望があった。こんな風に、自分の無力さを感じることもなかった。しかし校長は、この学園には今でも希望があふれていると国王を励ます。希望に満ちた若者たちが、年老いた自分たちを、この国を支えてくれるだろうと。そこにルーイが現れる。陛下のお相手はルーイ様ひとり。ほかのみなさんは、別行動でバックアップのようです。ルーイ様は、みんなを信じて背中を預けたわけですね。てか、もしかしてみなさん、面倒な陛下のお相手(&一番危険なポジション)をルーイに押し付けた?そのお三人は、いつもの温室に集合。カミユが暗殺者たちの気配を感じ取ってみなさんを導く。ここんとこその能力が、単なるフカシじゃねーのか?との疑惑を集めていたカミユさんも、最終回だけあって、がんばって第六感を総動員した模様。もっとも、最初から陛下の近くにいて気配を探っていた方が暗殺者たちも見つけやすいし、いざという時すぐに行動も起こしやすいのでは?という気もしますが・・・。庭を散策する陛下一行を銃口が狙う。そこにエドが飛び出し、ルーイが振り向き、銃声が響く!!ここでAパート終了。ドキドキです。
さて、Bパート。エドは首尾よく刺客を蹴り倒し、ルーイ様は陛下をかばう。「陛下を危険にさらすなと言っておいたはずだ!」と不満げなルーイ様。「申し訳ありません」と、一応謝っておくナオジ。「そのためにお前が傍にいたんだろう?」と、もっともなことを言うエド。「何者もこの学園を侵すことは許さない」ルーイ様、エドの言うこと聞いてねぇ。不在のオルフェの代わりに、急遽ルーイ様との掛け合い役を引き受けるとは、さすがエド。オルフェの心の友だけのことはあります。そのオルフェも、アイザックと共に駆けつけました。シュトラール候補生プラスワン勢ぞろいで、刺客たちを相手に圧勝です。しかも、相手を倒した後、エド、ナオジ、ルーイは美しくポーズを決めたまま。ああ、マイネリーベだなあ。
一方オルフェは、眼鏡教師、いや今回くらいは名前を呼んでやろう、ベルーゼに剣を向ける。アルバートが託した紙切れから、ベルーゼが首謀者であったことを知ったオルフェ(ルーイだけじゃなく、おまいも気づいてなかったんかい?)。しかしベルーゼは、オルフェに冷笑を向けてうそぶく。君たちは気づいていない。自分が生まれながらにして持っているものの価値を。エドと同じく、ベルーゼも貴族の庶子であった。しかしベルーゼの父は、彼を認知せずに見捨てた。もしかしたら、この学園に入り、いずれは使長としてこの国を動かすことができたかもしれないのに、彼にはそのチャンスすら与えられなかった。彼の行動は、不公平な人生とシステムに対する復讐だった。
どっかの国のスパイかと思ったけど、完全に私怨だったわけですね。考えてみればこれまでも、エドを誘惑しようとした少女とか、ルーイ様に挑んだ娘とか、家族のためにスパイになったアイザックとか、エリートの道を約束されたシュトラール候補生たちとはある意味対極の立場でもがいている人々が描かれていましたね。
人々の幸福を願うオルフェにとって、ベルーゼの境遇にも同情すべきところはある。しかし、復讐のためにこの国を犠牲にすることは許せない。ベルーゼに剣を向けるオルフェ。オルフェに銃を向けるベルーゼ。そこに、一輪の薔薇が飛んできた!ふたりの間で、美しく弾ける薔薇の花。虚を衝かれた後、薔薇を投げたカミユを撃つベルーゼだったが、アイザックが一瞬早くカミユを抱えて銃弾を避ける。逃げていくベルーゼ。カミユさんったら、チャンバラでは出番なしと思ってたら、ラストできっちりオイシイとこ持っていくとは。さすがこの番組のヒロインだけのことはあります。ベルーゼも、カミユを撃つ暇があったら、仕切り直してオルフェを撃つべきだったんじゃないかと思いますが、あまりのことに混乱してしまったらしい。そりゃ誰も花が飛んでくるなんて思わないもんなあ。このシーン見てて、なんとなく、第一話で不意をついてオルフェとルーイの決闘を止めたナオジの姿を思い出しちゃいました。
謀反を企んだ王弟は近衛兵が逮捕。ベルーゼは背を向け去っていくが、その暗い瞳は、まだ諦めてはいないようにも見えます。
そして、シュトラール候補生たちを前にして、国王が言う。これが現実の姿だ。殺し合い、潰し合う。どんなに人事を尽くしても、決して不満の種を根絶することは、不幸せをなくすことはできない、と。その言葉にオルフェが反論する。だからといって、根絶する勇気と努力を忘れてはいけない。それを怠れば、本当の負けだから。オルフェは、もう迷うことなく自分の理想を追い始めたようです。「今度ばかりは私もオルフェに同感です」とルーイまでもが賛同。今度ばかりは、と断るところが大人げないが、オルフェはそれを聞いて「ルーイ・・・」とうれしそうな表情を見せる。ついにオルフェもルーイ呼びをし始めたか。
これからも頼むぞ、と若者たちにこの国の未来を託す国王。その頃アイザックは、「また会おうぜ、坊やたち」と夕日に向かってカッコよく去っていったのでした。スパイ業務はどうなったんですか?カフェのお姉さんにちゃんと別れを告げましたか?はっ!カフェの代金!!
事の顛末をアルバートに報告にいったオルフェは、姉の言葉を伝える。自分を許してあげてください、それが姉上の望みです。そして流れるOP曲。学園の温室は、ついにシュトラール候補生5人全員がたむろする場所と化してます(完全私物化)。花に水をやるカミユがふと手を止め、4人を見る。「僕、この学園に来て本当によかったと思うんだ」その言葉に微笑むみなさん。「私もだ」と答えるオルフェ。校長が窓の外を見下ろすと、5人が並んで歩いていく。オルフェの隣にルーイ様がいたりするのが微笑ましい。でもやっぱりこのふたりは、これから先も事あるごとに対立しそうだな(紅茶とミルク、どっちを先に入れるかとか)。頭上を行く飛行船を見上げ、表情を曇らせるオルフェ。一話からずっとオルフェの上に影を落とし続けていた飛行船は、動乱の時代がもたらす不吉な未来の象徴か、あるいは彼の理想の前に立ちふさがる数々の障害を暗示しているのか?
そしてオルフェの部屋には、姉の写真の横に、みんなで撮った記念写真が並べられている。ちゃっかりアイザックまでいますよ。なぜかオルフェだけが真ん中で椅子に座ってます。ルーイ様、その立ち位置でよろしかったのですか?ちょっとは大人になったんですねルーイ様。大好きですルーイ様(きゃっ、言っちゃったっ)。


というわけで、意外と綺麗に幕を下ろしたマイネリーベでした。理想は100%叶うことがないからこそ理想なのかもしれないけど、だからといって諦めてしまうのではなく、信じて努力し続けることこそが人間の真の理想の姿だ、というのがこの作品のテーマだったのでしょう。いまどき珍しく、恥ずかしげもなくストレートにきれい事を語った硬派な話で、逆に新鮮でした。ただし、13話という短い期間にメインキャラ6人も詰め込んだもんで、テーマがぼやけて散漫な印象があったのが残念といえば残念だけど、まあ、最初にキャラクターありきな話だったからしょうがないですね。むしろ、キャラ先行ながらもここまできちんとした話を作れたことを評価すべきかもしれない。少なくとも、楽しませ続けてくれたことは確かです。本当に楽しかった。彼らともう会えないかと思うと、とてつもなく淋しいですよ。
思えば私が最初にマイネリーベを知ったのは昨年5月だったわけで、そのときはキャスティング大盤振る舞いに呆れただけだったのに、よもやこんなにハマるとは思わなんだ。やっぱ続編希望。マイネリーベ激闘編とか、マイネリーベKARTE.2とか、マイネリーベ−眼鏡の逆襲−とか。その際にはぜひ、刺身のツマに使われた大根の皮くらいの存在になってしまったエリカさんを、(題名どおりに)シュトラール候補生たちが奪い合う華麗な物語を・・・と思ったけど、それだとかえって普通の作品になってしまいそうだなぁ。
あそうだ。映画にしよう!みんなで日本へ向かっていた豪華客船の上で、再び眼鏡の魔の手が襲う!とか。もちろん併映は、「ルーイ様からの贈り物」ということで。