本の感想。

ヘッダーに「TV、本の感想」とか書いときながら、本の感想は今日初めてだったりします。
読書スピードがとてつもなくトロい上、読むヒマがないんですよ。
通勤時間が読書に使えないくらい会社と自宅が近いってのも、考えものだわ。



4月20日分。


忘却の旋律「第2部白夜岬編・白夜岬」
今までの展開が1部であったことに、初めて気づきました。本日は2部のはじまり。白夜岬編ってことは、しばらくここにご滞在なんでしょう。


スリ少女、小夜子と家出したボッカは、陰気そうな港町温泉街に流れ着く。
テント付きバイクとは、じいさんもまた便利なものを作ったもんだ。
敷布団にカップ天ソバ。なんか所帯じみてるねボッカ。てか、普通テントで泊まるとき、こんな見事な家庭用布団セット用意しないぞ。これもバイクのオプションだとしたら、あの年寄りはタダものじゃない。
んで、来ました。先週予告で我が目を疑った、キュウピィ!
って、キューピーかよっ!!?
というツッコミは誰からも入らない世界なんですね。淋しい・・・。GANTZの玄野クン連れてきていいっスかー?
この町は観光でもってるらしく、客引きの間にも客をめぐって不穏な空気が漂ってたりします。不況の嵐がこの町の空気をこんな陰鬱なものにしてるんですねぇ(違う)。まず、キューピー以外の客を開拓することから始めた方がいいと思いますよ。うん。ヤツらあんま金持ってなさそうだし。ハダカだし。
天使の置物に鳥のお化け。翼に満ちた観光温泉街。へび少女なんかも出てきて、バケモノ満載夢一杯のこの町で、ボッカの冒険は始まるのです。
つまりこの話は、人々がすっかりモンスターへの服従を呑み込み、目をそらしながら生きている世界で、ボッカがモンスターと闘いながら、対モンスターの切り札となる「忘却の旋律」さんを探す。ということでまとめていいのでしょうか?
まぁ、そんな大筋はどうでもいいんで、とりあえず、シュールな展開で楽しませてくれることを期待。
お次は、組合話。



Twelve Y.O.』(福井晴敏/講談社)
時間軸上でも内容的にも、「川の深さは」と「亡国のイージス」の間に位置する作品。「川の〜」の登場人物や設定が登場し、「亡国〜」につなげるネタが出てくる。
今さらこれを読んでいる自分がおかしいんですけどね。


「川の〜」は、マンガ世代が受け容れやすい、分かりやすくキャラ立ちした登場人物による熱くて泥臭い物語だったけど、今回はそれらの要素が意図的に弱められている。得意の「泣かせ」の場面も極力抑えられている。そのため、あっさりしすぎて、この作者の長所である「ダサさ」が宙ぶらりんの状態になってしまっている。また、ページ数のせいか、どのキャラも中途半端な描写にとどまり、無理矢理まとめてしまったという印象を与える。
といっても、後半、仕掛けられた罠が次々とその姿を現す胸のすくような展開は相変わらず見事。
おそらく、「川の〜」の感情的な揺さぶりと、この作品で試みたマンガ的要素の抑制の間で上手くバランスを取ることで、さらに表現的、構成的に洗練された「亡国のイージス」を生み出したのだろう。この作者の作品の系譜から見て興味深い作品でした。