ぼーっとしてるうちに最終回シーズン。

今期は2クール以上見ていた作品が多いんで、淋しさもひとしお。



ビューティフルジョー【最終回】「明日のヒーローは君だ!の巻」
最後の敵、ブルーやジェットを闇の世界に引きずり込んだイーヴィルキングを相手に戦うジョー。圧倒的な敵の力に誰もが諦めていく中、ジョーは決して諦めなかった。どんなに過酷な状況でも、人々に希望を与え続けるのがヒーロー。Vウォッチの力を借りて戦い始めたジョーが、自分自身の力でヒーローになった瞬間でした。一方、イーヴィルキングが恐れていたホワイトフィルムとは、ブルーの映画への想いが詰まったフィルムであり、シルヴィアが大好きな映画への想いを、ヒーローへの憧れを大事に育んできた象徴でもあった。つまり、製作者と観客という、ヒーロー映画を愛する人々の心が凝縮された結晶だったわけですね。
邪悪な存在が忌み嫌った希望の塊、ホワイト・フィルムは、ジャドー三人組の手を経て、アラストルの手で上映された。アラストル、最後に見せ場があってよかったな。ジョーにも親友扱いされてよかったな。ホワイト・フィルムの援護で、ジョーたちはイーヴィルキングを倒す。そして、ジュニアたちは今日も映画の中で生き続け、人々に希望を与える(アラストルはどこまでも笑いをとり続けるおいしい奴でした)。ジョーたちが現実世界に帰っちゃったら一人残されたジュニアがかわいそう、とか考えていた自分がいかに浅はかだったかを思い知らされましたよ。
誰だってヒーローになれる。最後までポジティブなメッセージを送り続けて、幕。
ではありませんでした。いつものEDに入ったと思ったら、最後のカットでやられましたねぇ。本来ならジョーとシルヴィア、ジュニアしかいない映画館に集まったオールキャスト。レイチェルのちょっと内股な座り方が可愛い。ブルーの隣にジーナがいたりして、座り位置もなかなか面白い。劇場の後ろのドアから入ってきたのは、新たに物語に加わる「明日のヒーロー」となる少年、視聴者でしょうかね?


面白かったなぁ。最初は微妙だと思っていたこの作品だったのに、ツッコミ役のジュニアが登場してからジョーのボケも活きてきて、加速度的に面白くなっていったのにはびっくりしました。ヒーローの相棒の少年が邪魔な存在じゃなく、むしろ必要な存在であり、その上どんどんカッコよくなっていくというのは初めてのパターンかもしれない。ジュニアのみならず、ほかのキャラクターたちもちゃんと成長を遂げていく姿が描かれていたし、王道に見せかけて、微妙にひねりを効かせていた脚本には毎回驚かされました。ヒーローの苦悩や悲劇でドラマを作るのは簡単だけど、この作品はそこに逃げずに、いつもへらへらしてる、一見いい加減なジョーがヒーローとしてどれだけ凄い奴なのかを、説得力をもって見せていました。こんなに前向きなメッセージを一年にわたって送り続けるなんて、そうそう出来ることじゃない。愛すべきヒーロー、ビューティフルジョーは、ヒーロー史に残る最高にカッコいい奴でした。
一年間、存分に楽しませてくれたスタッフ、キャストに、観客として心からの喝采を送りたい。大人にも子供にも胸を張って薦められる、一級のエンタテイメント作品でした。
来週からは、ジョーのいない土曜の朝が始まるのか・・・



9月22日分。


ぺとぺとさん「『いもてん』お試し版」
幸せな記憶を多く持っていれば害にならない妖怪って、ステキな設定だなぁ。それって、どれだけ幸せを感じることができるかのバロメータってことですもの。
ぺと子は自分の能力に引け目があるから、シンゴのことに臆病になってるんでしょうね。そしてくぐるも、シンゴのことが好きなくせに、ぺと子のことが気になってる。ふたりの気持ちが切ない分、はっきりしないシンゴがちょっと減点でした。



バジリスク【最終回】「来世邂逅」
多くを語ることなく向かい合った朧と弦之介。ともに生きてきたかけがえのない仲間たちと、いつかは分かり合えたかもしれない人たち18人の人生を背負って対峙しなければならなかったふたりは、どんな気持ちだったのだろう?結局彼らに出来たのは、それぞれ最後の瞬間だけは自分の想いを貫くことだった。自らの命を絶ち、死後にやっと結ばれたふたりがゆっくりと川の流れに運ばれていく光景は、第一話で、お互いの命を奪って水辺で倒れていったお幻と弾正の姿と見事な対比をなしていました。彼らの命を犠牲にして泰平の世が訪れたことが、少しでも彼らにとっての慰めになってくれればいいのだけど。願わくばふたりが、そして犠牲となった人々がみな、隠り世では幸福でありますように。
最初から最後まで一貫して緊張感を漲らせた先の読めない展開に惹きつけられた一方で、魅力的なキャラクターがあっさりと無残に散っていく姿を見せられるという、残酷な物語でもありました。特に最終回は、定められた運命にささやかな抵抗を試みて静かに散っていくふたりの姿が泣けました(弦之介はちょっと情けない奴だったけど)。原作未読でも、これがキャラクターを大切に扱ってアレンジされた、丁寧な作品であることが分かります。作画にしても演出にしても構成にしてもマイナス点の見つからない良作だったと思う。うん、面白かった。