神坂一

今さらながらの話題ですが、「ライトノベル完全読本」が出たとき、うちの相方が、神坂一が前面に押し出されていないことを大変憤慨しておりました。私もその内容を聞いて、担当編集者の胸倉を掴んで問いただしたくなりました。
神坂氏(というよりスレイヤーズ)の登場がどれだけラノベのファンタジー世界にとってエポックメイキングな出来事であったか知らぬ人はいないはず。しかも、いまだに一定のクオリティの作品を生み出し続けている。特筆すべきは、延々続く「スレイヤーズすぺしゃる」という短編集。短編ですよ短編。それだけでも難しいのに、あのはっちゃけた内容。「すぺしゃる」より笑わせてくれる作品集があるのなら、土下座をしてでも教えを請いたいくらいです。
これはやっぱりあれですかね。笑いが一段低く見られる文化ゆえですかね。そりゃ、神坂氏に芥川賞をいや直木賞だ、いやいっそノーベル賞を、とイっちゃった方向で義憤に燃えているのは私らくらいであることは重々承知ですが、それにしたって解せない。
はっ!もしかして、スレイヤーズは既にラノベとかではなく、純文とかのカテゴリーに入れられているのだろうか?



美少女戦士セーラームーン【Act.45】
前世にとらわれている美奈子ちゃんとまこちゃん。ふたりとも、辛い現実から逃避するための手段として、無意識に前世にすがっているような気がする。一方、前世なんて関係ない。無視すればいい、と頑なに否定するレイちゃんも、それでは解決しないということに気が付いていない。両者の気持ちがそれぞれ分かる亜美ちゃんが板ばさみになっちゃってます。うさぎちゃんに心配をかけないように、レイちゃんや美奈子ちゃんのことを秘密にしたり、一度辛い体験をくぐり抜けてきた亜美ちゃんが、一番冷静に周りが見えているようで、彼女のがんばりに期待したいです。
その頃、ネフとお買い物中の元基は、まこちゃんのためにお守りを買う。元基らしい優しさで大変結構なのですが、そのしょぼいお守りに800円はボッタクリすぎだと思います。もっとちゃんとした店で買いましょう。物欲しげなネフに金を貸す元基。あのネフがすまん、とか言ってます。さすがですね、元基のいい人パワー。で、それで何を買うのかと思ったら、この間の亜美ちゃんのまずいクッキーへのお礼。というか、借りを返すつもりらしい。でも金足りないし。てか、水牛の角は女の子へのプレゼントとしてどうかと思うし。いや、亜美ちゃんがこれもらったとこ想像すると、かなり面白いんですけどね。困りながらも律儀に受け取るだろうし、自分の背丈ほどもある角を抱えて帰る女の子なんてシュールすぎて、個人的にはぜひ見たい映像。
ついに変身できなくなった美奈子ちゃん。メタリアが乗り移った妖魔を道連れに雷を落とすまこちゃん。そして、レイちゃんに近づいたミオの思惑とは?



超星神グランセイザー「終末の始まり」
ウオウマナフが地球総攻撃のために送り出した宇宙船が、月の軌道上に観測された。ウオフマナフからの使者だというブライトンによって、セイザーメンバー半分が取り調べられる。このメンバーは、とりわけ怪しそうな奴等ってことなんだろうか?その結果ブライトンは、ボスキートの子孫である蘭を引き渡せば、攻撃を中止すると持ちかける。地球の危機とひとりの命。そんな状況で、簡単に蘭を引き渡そうとしない御園木やセイザーたちに助けを求める沖田がカッコイイです。どうやら、蘭はボスキートの子孫ではなくて、ブライトンたちが恐れている、ホウシンシャらしいです。ウオフマナフも内部でいろいろ混乱している模様。
みんなの重荷になることを恐れて、桜の中を走り去る蘭。セイザー世界では、いつになったら夏が来るんだろう?。
ルビーという謎のアケロン人もでてきて、次回は、ロギアが久しぶりに復活。がんばれロギア。ここで一発カッコいいとこ見せてくれ。



ケロロ軍曹ケロロ侵略も省エネでねであります」「ケロロ田舎に向けて突撃せよ!であります」
伍長、いい加減家ん中で暮らせ。せめて室外機の傍から離れろ。
ケロロ小隊PVを製作中の軍曹たち。軍曹のコスプレは死神博士?しかし、お約束の停電でデータはパア。どん底に突き落とされる軍曹とタママの姿は、カリ城をほうふつとさせます。
その頃、停電でクーラーが効かずギブ状態の夏美の下へとはせ参じる小雪とドロロ。この小雪の口上が、どっかで聞いたことあるんだけど思い出せない。小雪は、夏美と冬樹に昔ながらの涼の取り方を伝授。電気なんかなくても、工夫次第で十分涼しく豊かな時間が過ごせるのです。一方、暑ささえ忘れるくらい熱中しているママと新人漫画家さんの打ち合わせにも和まされる。そして、自家発電システム持参で駆けつけた桃華も、冬樹たちの姿に、そんな装置の無意味さに気付いて微笑む。
軍曹たちが分かりやすいバカやってるのはそっとしときましょう。


Bパート冒頭は、またまた見たことある人たちが峠バトル(になってないか)で自沈。
ママの田舎に向かった日向家一行に無理矢理ついてきた軍曹たち。森の中ではしゃぐ伍長。スーパーカブトムシと死闘を繰り広げるタママ(これ本当にカブトムシか?)。冬樹とキャッチボールしていた軍曹は、こぼれ球を追いかけて、犬小屋の前へ。手強そうな犬が実は鎖につながれてなかったと気付いて、犬の顔をなでまわし、間、そして、追いかけられるというシークエンスは、珍しくカートゥーン・テイストを取り入れてます。怪我をした伍長、カブトムシとの闘いに倒れたタママ、迷子になった軍曹を助けたのは、日向家のおばあちゃんでした。夏美の予想を裏切って、軍曹たちを見て驚かないどころか、彼らを「オバケ」だと思い、それでも介抱したおばあちゃん最強。涙目の軍曹たちは、恩人に敬礼して去っていくのだった。
軍曹の、まだ帰れるところがあるんだ・・・って、初出だっけ?なんか前にもやったことがあるような。


古き良き日本を見直そうシリーズ。これはギャグ?という気もするけど、最近の展開はもうそんなことはどうでもいいくらい、心の片隅を突っつくような、余韻のある優しいドラマ続きです。無理にギャグやパロディに走らなくても十分に面白い。少なくとも、私は好きです。



クロスカディア5巻・月眠ル地ノ反逆者タチ』(神坂一富士見ファンタジア文庫)
シリーズ5作目で早くも核心に入って、しかも終わりそうな気配も漂ってきてます。月の世界にはヒュームが住んでたんじゃないかとかの謎もまだいっぱい残ってるし、まさか悲劇で終ることはあるまいと思うんだけど。ラフラ・リフラとレゼルドの中途半端な扱いはどうにかならないものか、などと言いたいことはそれなりにありますが、とりあえず、一番ドラマチックなのは相変わらずあとがきだったりするのがスゴイ。



『褸漫』(井上雅彦/ハルキホラー文庫)
井上雅彦の描く世界は極彩色の恐怖に満ちている。読み終わった後、しばし本を伏せて、目を閉じて浸りたくなるような、美しい文章の残像たち。
今回は再録作品が多いですが、こうやって並べると、また違った印象があります。特に、作者お気に入りの映画『FREAKS』を髣髴とさせるような異形のキャラクターたちが繰り返し登場し、そのイメージの奔流に圧倒される。
前作『綺霊』に劣らぬ、井上雅彦ワールドの真骨頂ともいえる作品集。作者の原点であるショートショートの形態が多いだけに、ぎゅっと凝縮された闇の世界が堪能できます。