久しぶりにゆっくり本が読めた週末でした。

5月23日分。


金色のガッシュベル!!「打倒ロード!それぞれの決意」
冒頭からオリジナルづくし。キャンチョメは南極でペンギンキングのパシリになってます。だーもー。このコはどーしてこう情けなカワイイんだろう?ナゾナゾ博士コンビは揃って鼻垂らしながらわかさぎ釣り(わかさぎなのか?)。お気楽スピリットもここまで徹底すると見事。スーパースター、フォルゴレも南極にチチもげをひっさげて颯爽と登場。凍ってるけど。防寒対策くらいしとけ。結構寒いんだから南極は。


今日は原作のエピソードをベースに、上手くアレンジとフォローが加えられてました。
一番力が入ってたのは多分、恵エピソード。売れっ子アイドルがどうやってのんびり異国で戦闘なんかできるんだ?という原作では欠けている部分を補った展開。友人との軋轢、和解エピソードはお手軽すぎのような気がしますが、恵の葛藤をちゃんとフォローしてくれた努力は評価できます。石版編での戦いに向かう清麿の葛藤は十分に描かれてますが、恵の方はお留守になってたんで。
また、原作では唐突に感じられたウマゴンの本の持ち主エピソードをここで早々と匂わせたのも、納得できる構成でした。
お弁当づくりしてるティオ&恵がほのぼの。お弁当タイムの清麿&ガッシュ&ティオからウマゴン、恵へとつないだのは自然でクレバーな場面転換ですね。清麿とクラスメート4人との会話を、居眠りしてるティオを背景にシルエットで表現していたのも面白い演出でした。確か以前にも、貝澤幸男演出の奥行きの使い方に唸らされた覚えがあります。清麿がノートを借りる原作エピソードが、こんなところで使われています。
笑えたのが、ウマゴンのメルメルにメールをかけたベタなやりとり。清麿、あっさり納得してるし。原作と違って、ガッシュ&ティオの静止を振り切って大人気なく手紙破いちゃってるし。このテンションを引っ張って、「お礼くらい言わせやがれ」を頭上の飛行機に向かって叫ばせたのは、正しい選択であったと思います。原作ではここはつぶやきになっていますが、アニメでそれを表現すると弱くなってしまうと思うので。


恵の新曲に乗せて集まる仲間たち。キャンチョメ&フォルゴレ・コンビはタイタニックごっこですか?余裕だなー。次はいよいよ見せ場だぞ、キャンチョメ!!



レジェンズ〜甦る竜王伝説〜「熱い熱いの熱いのよ」
冴えない営業さんをキャスティングしたわけがやっと分かりました。
冒頭の捨てられるファイヤー・ジャイントとラストの解雇オチが、今回のお話全体を象徴するファイヤーという言葉を介して見事に呼応してます。しかも、ファイヤード・ジャイアントというダメ押しで、ちゃんとYou're firedの意味が視聴者に浸透するように引っ張ってる。
解雇宣告された営業さんがEDのイントロいっぱい固まっているという尺の使い方。早い展開で切り捨てられるところは切り捨て、こういうところに贅沢に時間を使うのが、メリハリの利かせ方が上手いこの番組らしいです。
ただし、ディーノがタリスポッドを手に入れた経緯はよく分かりませんでしたけど。



『赤・黒』(石田衣良/徳間文庫)
池袋ウエストゲートパーク外伝」と銘打っているように、IWGPの個性的な登場人物の中でも特にカッコ良かったサルこと斎藤富士男が主人公のサブとして控え、相変わらずの切れ者ぶりを発揮。
主人公は売れない映像ディレクター。冒頭の登場場面からどうしようもないダメ男ぶりをいかんなく発揮していた彼が、次第に情熱を持って事態に立ち向かうようになっていく変わりようが見どころ。石田氏得意の一人称ではなく三人称で語られているものの、相変わらずの軽快なテンポで一気に読ませる。ラストの大一番もベタだけど爽快感がありました。
とにかく、金は魔物ですわ。



娼年』(石田衣良/集英社)
図らずも石田作品を2作続けて読むことになってしまいましたが、これはまた全く違った色合いの作品。『赤・黒』を動とするなら、こちらは完全な静。
主人公のリョウは、娼夫としてスカウトされて、人間のさまざまな欲望の形に出会っていく。一人称で語られるこの作品の中で、人間を、その体を、そしてその欲望を見つめる彼の目は、限りなく優しい。
もしリョウのように女性を慈しむ男性が増えてくれたら、世の女性はもっと救われるかもしれない。年を重ねることもそんなに悪いことじゃない、と思えるようになるかもしれない。
人間に関する取説のような作品。勉強になりました。