とことん すごい カレイドスター

カレイドスターだけでめちゃくちゃ長くなったので、その他の分の感想は後ほど。



3月20日分。


カレイドスター「避けられない ものすごい 一騎討ち」

勝負がいやなら役降りれ、とレイラに言われるたそらは、やる気満々。争いのないステージと矛盾していることが分かっていながらも、気持ちを押さえきれない。
一方、周囲は主役がどっちだろうと自分のやるべきことをやる、という姿勢。
この感じ、好きです。たとえこの作品の主人公であろうと、そらはステージ・メンバーのひとりでしかないということが分かります。そらを中心に回ってない。
そんなこんなで、Aパートは、そらとレイラの勝負にいたるまでの、それぞれの様子が描かれる。
おーい、アンナー、どこまで行くんだぁーーー?
レオンはやっぱり死に場所を探してたのよね。ソフィーのためだけに生きてきて、ソフィーが死んだ後の彼の人生は、約束を果たすためのオマケみたいなものだったから。
でも、「罪を重ねてきた」ってあーた、極悪☆非道のユーリの所業に比べたら、あんたのやったことって、立ちション並みの軽犯罪だと思うんだけど……
マズイ。私、こいつが本気で好きになったよ。
登場以来、数々の間抜け行動でちょっと気になるヤツでしたが、最近の間抜け度アクセラレーション、ここに至っての間抜けさMAX加減にマジでやられました。
私は間抜けな男にとことん弱いらしい。
そんな間抜け野郎でも、そらの「最高の喝采を浴びましょう」という言葉に心を動かされる。
そら、なんか達観してきてるなぁ。
メイ、演技前のそらにそんなに食わせたら、ブランコの上でゲロ吐くって。
後期の展開をアクティブにかき回してくれたメイ。このコ、やっぱいいよ。最高だ。
カロスとサラ。「あなたのそういうトコが好きよ」っていうサラも、グッドだよ。すごくステキ展開。
このふたりはいい雰囲気のままくっついてほしいなぁ。


一方、Bパートはそらとレイラの勝負、ステージでの演技だけに完全に費やしている。これもすごい。
そらの演技を見守る人々、共演者たちまでもが、それぞれ皆、おだやかな気持ちで一番大切な宝物、自分の原点を思い出す。
アンナ、ママにすらギャグがウケなかったのか…。メイ…プロレス技はなかろう。オチ・キャラになってるよ……
お前も何か思い出してるのかオットセイ!?
ソフィー登場。何気にソフィー、初登場の44話から皆勤賞だったりする?
死人の割にはなかなかマメな人です(いちいち召喚するヤツがいるせいだろうけど)。
そしてついには、争っているはずのレイラさえも、そらの姿に天使を見る。


みんなが笑顔になれるステージ。
みんなが幸せになれるステージ。
アニメという絵空事をもってしても実現不可能と思われたこのテーマに真っ向から取り組んだだけでも拍手モノなのに、それを、レイラとの勝負、という必然の上に、目に見える形、考え得る限り最高の形で視聴者に提示したスタッフに脱帽です。


カレイドスターには、いつもこの「必然性」がありました。
この作品では、些細と思えるエピソードも、後の展開においてその重要性が浮かび上がってくる。思いつきの、とってつけたエピソードで即席の感動を作るのではなく、記憶の積み重ねで視聴者の心を動かそうというのは、手間もかかるしすぐに結果も出ない。根気もいるし勇気もいる。
そして何よりもそこに、視聴者への信頼がある。
本当に良い作品というのは、視聴者の知性や忍耐を決して甘く見ることはないと思うんです。一から十まで説明せずに、視聴者の想像力にゆだねる部分を作る。中途半端な所で媚びて、安易で手っ取り早い道に飛び込んだりすることもない。
カレイドスターは、視聴者を信頼して物語をつむぎ続けた。そして、視聴者もまた、途中、ええっ?という展開になっても、カレイドだからこそ、信頼してついてこれた。その相乗効果が、物語が収束しつつある今、さらなる感動を加えていたと思います。


レイラがここで最後に果たした役割によって、後期、ここまで彼女を引っ張ってきたことの必然性を見せてくれました。
先週私はレイラの扱いについて愚痴ったけど、これがスタッフの答えだったようです。
カレイドのこの、首をひねりたくなるようなエピソードに関するタネあかしには、いつも気持ちよく素直に頭を下げることができます。そういうことだったんだぁ、ごめんねぇ、てへっ、って感じ?
レイラは、「ちゃんと」そらに負けなくてはならなかった。
先駆者の最後の義務として、これからスターとして生きていくために果たさなくてはならない責務を身をもってそらに示したレイラのその潔さに、改めて感動。


なぜ「天使の技」でなくてはならなかったのか、という部分が、だって天使だから、という説明になってしまうのが惜しいけど、それすらも物語の圧倒的なパワーの前に、どーでもいーや、という気にさせられました。


来週はいよいよ最終回。果たしてこの感動を超えられるのか。
このスタッフならきっと、みんなが幸せになれる極上のステージでフィナーレを飾ってくれるものと期待しています。
てか早く、エターナル・イリュージョン見せてくれ。


*ひとつだけ苦言。この間のBURN-UPもそうだったけど、大事なシーンでキャラソン入れるのはやめて欲しいです。知らなきゃいいんだけど、下手に知ってるとかえって現実に引き戻されちゃうんで。